ご家族を見送ったあと、実家の片付けを始めると、引き出しや枕元から故人のスマートフォンや古い携帯電話、パソコンが出てくることがあります。「もう使わないから、ほかの家電と一緒に処分してしまおう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、スマホやパソコンの中には、写真などの思い出だけでなく、ネット銀行や月額サービスなど、紙の書類では見つからない契約の手がかりが残っていることがあります。この記事では、徳島で遺品整理を進めるご家族に向けて、「デジタル遺品」を先に確認し、そのあとで機器を処分する順番を、国民生活センターの公表資料と徳島市のごみの分け方をもとに整理します。
目次
デジタル遺品とは何を指すのか
「デジタル遺品」という言葉に、法律で決まった定義はありません。国民生活センターは2024年11月20日に公表した資料「今から考えておきたい『デジタル終活』」の中で、デジタル遺品をデジタル機器を通して確認できるデータやインターネットで契約したサービスのことと説明し、パソコンやスマートフォンなどの機器そのものは含まない、としています。
つまり、片付けの場面で気をつけたいのは「スマホという物」よりも、その中に入っている次のような情報です。
- 家族の写真や動画、連絡先、メモなどのデータ
- ネット銀行、ネット証券、コード決済(スマホ決済)など、ネット上の資産
- 動画・音楽配信やアプリのセキュリティ機能など、定期的に料金がかかるサービス(サブスク)の契約
同じ資料によると、スマートフォンでインターネットを利用する人は、20〜59歳の各年齢層で約9割、60代で78.3%、70代で49.4%です(総務省「令和5年通信利用動向調査」より)。ご高齢の親御さんでも、スマホでさまざまな契約をしていることは珍しくなくなっています。
国民生活センターに寄せられた相談から見えること
先ほどの資料には、消費生活センター等に寄せられたデジタル遺品の相談事例が3つ紹介されています。内容を短くまとめると、次のとおりです。
事例1:スマホが開けず、ネット銀行の契約先がわからない
亡くなったお兄様がネット銀行に口座を開いていたらしいものの、契約先がわからない。携帯電話会社の店舗で画面ロックの解除を頼んだところ、「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われた、という相談です。
事例2:コード決済の相続手続きが1か月以上終わらない
亡くなった弟様がコード決済サービスに入金していたため、案内に従って戸籍謄本や住民票などを送ったものの、1か月たっても残高すら回答がない、という相談です。
事例3:サブスクの請求が止められない
ご主人が亡くなり携帯電話を解約したあと、クレジットカードの明細に約1,000円の見覚えのない請求が見つかった。請求元に問い合わせると「IDとパスワードがわからなければ、すぐには解約できない」と言われた、という相談です。
・故人のスマホやパソコン等のパスワードがわからない場合、第三者がロック解除することは困難
・ネット上の資産は本人以外が実態を把握することが難しく、相続手続きに時間がかかることがある
・サブスクは解約手続きをしない限り請求が続いてしまう
出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-」(2024年11月20日公表)
資料はまた、契約者が亡くなっても事業者にはその事実を知る手段がないため、相続人となる遺族等が解約手続きを行う必要があるとも説明しています。ご家族が動かない限り、引き落としが続いてしまうおそれがあるということです。
片付けの前に、スマホとパソコンを「処分しない箱」へ
こうした事例を踏まえると、遺品整理の段取りとしては、デジタル機器と、その手がかりになる紙類をまず一か所に集め、中身の確認が終わるまでは処分しないのが安心です。
一緒に集めておきたいもの
● 機器や記録するもの
- スマートフォン、使わなくなった古い携帯電話、タブレット
- パソコン本体(ノート・デスクトップ)
- USBメモリ、SDカード、外付けのハードディスク、デジタルカメラ
- それぞれの充電器やケーブル(電池が切れていると中身を確かめられないため)
● 契約の手がかりになる紙類
- パスワードや番号を書いたメモ、手帳、エンディングノート
- 通帳、クレジットカードの利用明細
- 携帯電話会社やプロバイダからの郵便物、契約書類
古い携帯電話は、引き出しの奥や箱の中にしまわれたまま見落とされがちです。貴重品を探すときと同じように、ひと通り見て回るとよいでしょう。貴重品が見つかったときの進め方は「遺品整理で貴重品が出てきたら?徳島の業者の対応フローと確認点」でもまとめています。
初期化・解約・処分は、確認のあとに
事例1のように、店舗でできるのは初期化までで、ロックの解除はできないことがあります。初期化すると中のデータは消えてしまうため、中身を確かめたいうちは、初期化や機器の処分を急がないことが大切です。
Appleのサポートページでも、パスコードでロックされているデバイスについて「デバイスを消去しない限り、Appleではパスコードの解除をお手伝いすることができません」と案内されています。思い当たるパスワードのメモがないか、先に紙類を探してみるのが近道かもしれません。
携帯電話の回線の解約も、事例3のように、あとからクレジットカードの明細で別の請求が見つかることがあります。回線を解約する前に、明細や郵便物でほかの契約がないかを見ておくと、手続きの抜けを減らせます。
スマホが開けないときの手がかり
パスワードがわからず、スマホやパソコンを開けないこともあります。その場合も、紙や外の記録から契約先をたどれることがあります。
明細と郵便物から契約先をたどる
事例3では、カード会社への問い合わせをきっかけに携帯電話会社から請求元を教えてもらえています。通帳の引き落とし欄やクレジットカードの明細、届いている郵便物やメールは、契約先を知る大切な手がかりです。
国民生活センターの資料は、ID・パスワードがわからない場合でも、契約先事業者が特定できれば、遺族から連絡することで解約等に応じてもらえるケースが多くみられるとしています。まずは「どこと契約していたか」を突き止めることが第一歩です。
株の取引が気になるとき
同じ資料の注記では、故人が株の取引をしていたかわからない場合、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求(有料)をすることで、証券口座の開設先を調べられると紹介されています。
iPhoneを使っていた場合
Appleは、亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスやアカウントの削除を申請できる仕組みを案内しています。申請には法的書類の提出と審査が必要で、日本では死亡証明書ではなく、アカウント所有者の死亡の記載がある戸籍謄本が必要になる場合があるとされています。また、生前に「故人アカウント管理連絡先」が指定されていれば、その方がアクセスを申請しやすくなります。なお、申請が認められた場合にアクセスできるのはApple Accountに保管されている一部のデータで、パスコードでロックされた端末そのものが開けるようになるわけではありません。詳しい条件はAppleの公式サポートページでご確認ください。
国民生活センターの資料にあるとおり、ネット銀行やコード決済サービスなどの残高を受け継ぐには、死亡の事実や相続人を確認できる書類などが必要になります。相続人の範囲や遺産の分け方、相続放棄を考えている場合の進め方などは、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。契約の解約や請求のトラブルで困ったときは、お住まいの地域の消費生活センターも相談先になります。亡くなったあとの手続き全体の流れは「徳島で家族が亡くなったあとの手続き|順番と期限、遺品整理を始める時期」でご紹介しています。
確認が終わったあとの処分|徳島市の分け方
中身の確認と、残したい写真などの保存が済んだら、機器を処分します。ただし、相続放棄を考えている場合は、機器の処分や契約の解約を進める前に、司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。ここでは徳島市の「50音順分別早見表」(更新日2026年4月1日)に載っている区分を整理しました。
※スマートフォンでは、表を横にスクロールしてご覧いただけます。
| 品名 | 徳島市の区分 | 早見表の備考 |
|---|---|---|
| スマートフォン | 燃やせないごみ | 充電式電池は外す。携帯電話販売店やエコステーションで回収しています。 |
| 携帯電話 | 燃やせないごみ | 充電式電池は外す。携帯電話販売店やエコステーションで回収しています。 |
| スマートフォンの充電式電池 | 市で処理できない | 携帯電話販売店で回収しています。 |
| 携帯電話の充電器 | 燃やせないごみ | 携帯電話販売店で回収しています。 |
| パソコン | 市で処理できない | 資源有効利用促進法により有料でメーカーが引取り。 |
| パソコン用ディスプレイ | 市で処理できない | 資源有効利用促進法により有料でメーカーが引取り。 |
| パソコンキーボード | 燃やせないごみ | 30cm角程度より大きいものは粗大ごみ |
スマートフォンや携帯電話は、燃やせないごみの区分ではあるものの、早見表には販売店やエコステーションで回収していることも書かれています。電池を外せない機種もありますので、迷ったときは無理に分解せず、販売店での回収や徳島市環境政策課(ごみ減量対策係 088-621-5202)へのお問い合わせをおすすめします。
パソコンはメーカーなどの回収へ
パソコンは市のごみとしては出せません。一般社団法人パソコン3R推進協会の案内によると、家庭で不用になったパソコンは、資源有効利用促進法に基づいてメーカーが回収・リサイクルする仕組みがあり、回収したパソコンは「ハードディスクの破壊など情報漏洩を防ぐ措置をとった上で」資源に戻すとされています。
料金について同協会は、2003年10月以降に販売された家庭向けパソコンに付いている「PCリサイクルマーク」があれば、廃棄の際に新たな料金の負担はないと案内しています。一方、マークが付いていないパソコンは回収再資源化料金が必要です。また、マークが付いていても、メーカーが倒産した場合などは協会が回収し、その場合は所定の回収再資源化料金が必要になります。このほか、一部の家電量販店や市区町村でも、小型家電としてパソコンを回収しているとのことです。料金の有無や申込み方法は、パソコンのメーカーの窓口でご確認ください。
● 手放す前に、データの消去を
あわせて同協会は、パソコンを廃棄するときはハードディスクに記録されたデータをユーザーの責任において消去することが非常に重要だとも案内しています。「ごみ箱を空にする」操作や初期化をしただけでは、データを復元できる場合があるそうです。消去には専用のソフトウェアやデータ消去サービスを使う方法などがあり、依頼先についてはパソコンメーカーや販売店、サポート業者の窓口に相談するよう案内されています。なお、ご自分でハードディスクを取り出してハンマーなどで叩き壊すのは、けがの危険があるためやめるよう注意されています。残したい写真などを保存し終えてから、消去の方法を考えるとよいでしょう。
ごみの区分や回収の方法は市町村ごとに異なります。鳴門市・阿南市・吉野川市など、徳島市以外の実家を片付ける場合は、その市町村の分別案内で確認してください。
出典:徳島市「50音順分別早見表」[す][け][は](更新日2026年4月1日)/一般社団法人パソコン3R推進協会「家庭系リサイクル」「PCリサイクルマークについて」「データ消去について」
ご自身の「デジタル終活」でできること
ここまでは遺されたご家族の立場でお伝えしてきましたが、同じことはご自身の終活にも当てはまります。国民生活センターは、デジタル遺品で家族が困らないための事前の対策として、次の4つを挙げています。
- 万が一の際に、遺族がスマホやパソコンのロックを解除できるようにしておく
- ネット上の資産やサブスクの契約は、サービス名・ID・パスワードを整理しておく
- エンディングノートの活用も検討する
- スマホ等のアカウントにアクセスできる人を指名できるサービスを活用する
1つ目について資料は、パスワードを日頃から家族と共有しておくことは思わぬトラブルにもなり得るとしたうえで、名刺大の紙にパスワードを書き、その部分に修正テープを2〜3回重ねて貼って保管しておく、という工夫を紹介しています。必要なときに家族がコインなどで削って確かめる方法です。誰かが削ったことに気づいたら、すぐにパスワードを変えるよう添えられています。
4つ目は、AppleやGoogleが用意している、アカウントの持ち主が亡くなったときに誰が情報にアクセスできるかを設定しておく仕組みのことです。エンディングノートの書き方は「徳島の生前整理、エンディングノートと並行で進める書き方と手順」でもご紹介しています。パスワードを残すときは、先ほどの修正テープの工夫のように、ふだんはほかの人の目に触れず、いざというときにはご家族が確かめられる形にしておくと安心です。持ち物の生前整理と一緒に、スマホの中の整理も少しずつ進めておくと、ご家族の負担を軽くできます。
遺品整理をご依頼いただくときのお願い
便利堂ネコの手の遺品整理では、お見積りの際にご家族と決めたルール(貴重品・形見分け・供養する品・処分する品)に沿って仕分けを進め、迷うお品があればその都度ご依頼主様に確認しています。
スマートフォンやパソコン、USBメモリなどを「処分しない品」として分けておきたい場合は、お見積りのときにお伝えください。古い携帯電話がしまわれていそうな場所に心当たりがあれば、あわせて教えていただけると探しやすくなります。データの中身の確認や、ネット上の契約の手続きは、ご家族ご自身で、または専門家と一緒に進めていただくことになります。
ご家族を亡くされたあとは、気持ちの整理がつかないまま、さまざまな手続きに追われがちです。焦らずに、まずは「処分しない箱」をひとつ用意するところから始めてみてください。遺品整理の内容は徳島の遺品整理のページ、費用の目安は料金のページでご覧いただけます。ご相談やお見積りはお問い合わせフォームから承っております。
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