相続したご実家を、すぐに売るのでも壊すのでもなく、次に住んでくれる人に引き継ぎたい。そう考えたときに候補に挙がるのが、自治体の「空き家バンク」です。ただ、いざ登録しようとすると「家具や仏壇が残ったままでいいのか」「兄弟で相続した家でも出せるのか」「どこに申し込めばいいのか」と、片付けと手続きの両方で迷うことが出てきます。この記事では、2009年創業の便利堂ネコの手が、徳島の空き家バンクのしくみと、登録の前に済ませておきたい家財の片付け・確認ごとの順番を、県や市町村の公表している内容をもとにご案内します。
・空き家バンクとは何か。自治体がしてくれること・しないこと
・徳島の空き家バンクは「市町村のバンク」と「県の住宅供給公社のバンク」の2つ
・登録の前に確かめたい、名義とご家族の承諾
・家財はどこまで片付けるか。「残さないで」が原則の町もあります
・片付けを始める順番と、相談できる窓口
目次
空き家バンクとは?自治体は「情報の橋渡し」までです
空き家バンクとは、自治体が空き家の登録を受け付け、その家を使いたい人に物件の情報を届ける制度です。自治体は売買や賃貸の仲介をするわけではなく、交渉と契約は、所有者と利用したい人のあいだで行うのが基本です。
徳島県の「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターは、空き家バンクを「自治体が空き家の登録を募り、利用を希望する人に物件情報を提供する制度です。」と説明し、続けて「所有者と利用希望者の連絡調整や情報提供を行いますが、あっせん、契約などは行いません。」としています。あわせて、交渉と契約は所有者と利用者の間で行うものの、「自治体が指定する宅建業者や空き家コーディネーターが仲介する場合もあります。」とも案内しています(出典:「とくしま回帰」住宅対策総合支援センター「空き家バンク」/2026年10月時点)。
町の側の説明も同じ考え方です。たとえば美波町は、登録された空き家の情報を移住を希望する方などに提供し、そのうえで所有者と利用したい人が「当事者同士で交渉します。」という流れを示しています(美波町公式ホームページ「空き家情報の提供について」・2026年9月29日公開)。
つまり空き家バンクは、不動産会社に売却や賃貸を任せるのとは別の、「住みたい人に見つけてもらうための入り口」です。どちらが向いているかは家の状態や立地、ご家族の希望によって変わります。徳島市も、空き家を売却・賃貸する場合の対応策として「不動産業者に依頼する。」と「空き家バンクに登録する」を並べて紹介しています(徳島市「徳島市の空家等の対策について」・最終更新日2026年4月1日)。
徳島の空き家バンクは2種類。まず家のある市町村を確かめます
徳島県内の空き家バンクには、市町村が運営するものと、徳島県住宅供給公社が運営する「とくしま回帰」空き家情報バンクがあります。どちらに登録するかは、家のある市町村に空き家バンクがあるかどうかで変わります。
先ほどのセンターの案内では、「とくしま回帰」空き家情報バンクは、公社が分譲した団地の空き家情報と、「空き家バンクが設置されていない市町村の空き家情報」を提供している、とされています。市町村が運営する空き家バンクについては、同じページに県内の市町村名が並び、各市町村の空き家バンクのページへ進めるようになっています。
1. ご実家のある市町村を確認する(相続した家が、ご自身のお住まいとは別の市町村にあることもあります)
2. 「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターの「空き家バンク」のページで、その市町村の空き家バンクのページがあるかを見る
3. 市町村のバンクがあれば、その市町村の担当課へ。分からなければセンターの総合相談窓口へ問い合わせる
なお、徳島市の空き家対策のページは、空き家バンクについてセンターの専用ページを案内しています。登録の条件や様式、受付の窓口は市町村ごとに違いますので、隣の町の要領をそのまま当てはめず、家のある市町村の案内を確かめるのが確実です。
登録の前に、名義とご家族の承諾を確かめておきましょう
相続したご実家を登録する場合、片付けより先に確かめておきたいのが「誰の名義か」「ほかの相続人は同意しているか」です。市町村によっては、登録できる物件の条件として関係者の承諾を挙げています。
三好市は、空き家バンクに登録できる物件の条件として、売買や賃貸を生業としない個人の所有であることなどに加え、「相続及びその他所有者以外の権利の設定がある場合は、登録に関して関係者の承諾が得られている物件」「共有名義の場合は、各名義者の承諾が得られている物件」を挙げています。登録の申し込みでは、登録申込書・登録カードとあわせて、承諾書(様式第3号)の提出も必要とされています(三好市「【空き家バンク】物件を登録されたい方・利用されたい方はこちら」・2026年8月5日)。
ご兄弟で相続した家や、遺産分割の話し合いがまだ済んでいない家では、ここが整っていないと登録の段階で手が止まってしまいます。また、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務になっています(徳島市の同じページでも案内されています)。それより前に相続した家も対象で、申請には期限があります。なお、牟岐町のように、抵当権や質権が設定されている物件を空き家バンクの対象外としている町もあります。名義や登記のことは、司法書士などの専門家に早めにご相談ください。相続した空き家の名義変更から売却・活用までの全体の流れは、徳島で相続した実家の空き家、片付けから活用までのロードマップにまとめています。
民法921条1号は、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」は単純承認をしたものとみなす、と定めています(保存行為などは除かれます)。相続するかどうかを決めかねているうちに家財を処分すると、この定めにかかわる場合があります。また、相続放棄は原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法915条1項・938条)。この期間は、家庭裁判所への請求によって伸ばしてもらえる場合もあります(民法915条1項ただし書き)。相続放棄を少しでも考えているときは、片付けを始める前や、空き家バンクへの登録・売却や賃貸の話を進める前に、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。亡くなったあとの手続きの順番と期限は、徳島で家族が亡くなったあとの手続き|順番と期限、遺品整理を始める時期でご紹介しています。
家財はどこまで片付ける?「残さないで」が原則の町もあります
家財を残したまま登録できるかどうかは、市町村によって扱いが違います。家財道具や電化製品を原則として残さないようお願いし、仏壇・神棚の整理までお願いしている町もあるため、片付けの範囲は登録先の案内を見てから決めるのが安心です。
牟岐町は、空き家バンクのページの注意事項で「トラブル防止のため、原則、家財道具や電化製品は物件内に残さないようお願いしております。また、仏壇・神棚の整理についてもお願いしております。特に賃貸の場合、家財等の撤去処分は必須条件としています。」と案内しています(牟岐町「牟岐町空き家バンク 物件紹介」・更新日2026年8月31日)。
住む人の立場で考えると、前の持ち主の家財が残っていると、何を使ってよいのか、何を処分してよいのかが分かりにくく、あとで「置いていった物」「捨てられた物」をめぐる行き違いにもなりかねません。牟岐町も、お願いの理由を「トラブル防止のため」としています。ただ、家財の扱いをどう定めているかは市町村ごとに違いますので、片付けの範囲を決める前に、登録先で一度確かめてください。
空き家に残った家財は「一般廃棄物」。出し方は市町村のルールに沿います
「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターのよくある質問では、空き家の解体と一緒に自力で処分できない家具等も頼めるか、という質問に対して、「空き家に残された不要家財等は、一般廃棄物となります。」としたうえで、不要家財等の所有者が「市町村のごみ出しルールにそって「一般廃棄物収集運搬業者」に処分を依頼する必要があります。」と説明しています(出典:「とくしま回帰」住宅対策総合支援センター「よくあるご質問」/2026年10月時点)。
ご家族で少しずつ出す場合は、市町村の粗大ごみや持ち込みの制度が使えます。ただ、家一軒分をまとめて出す場合は、市町村によっては通常の収集の対象外になることもあります。業者にまとめて頼む場合は、家財の処分をどこが担うのか、どの許可業者に引き渡すのかを、見積りの段階で確かめておくと安心です。たんすやピアノ、エアコンなどの大物の出し先は徳島の空き家に残った大型家具・ピアノ・エアコンの処分|出し先と運び出す順番で、家電4品目の扱いも含めてご案内しています。
片付けの費用や手間を支える制度がある町も
市町村によっては、空き家バンクと組み合わせて、家財の片付けを支える取り組みを用意しているところがあります。牟岐町の同じページでは、次の二つが紹介されています。
- 空き家改修等支援事業:空き家バンクに登録している(登録予定を含む)住宅の改修費や、家財道具等の撤去・処分の経費を補助するもの。町内業者が施工することが要件とされています。
- シルバー人材センター事業(屋内清掃等支援):屋内清掃の範囲で、空き家の家財処分を行うもの。仕分けしたごみを指定のごみ袋に入れて収集日に出す方法で、エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機・衣類乾燥機やパソコン、スプレー缶など発火のおそれのある物は扱えないこと、時期によっては2〜3週間かかる場合があることも書かれています。
補助の金額や要件は年度によって変わることがありますので、使えるかどうかは町の担当課で最新の内容をご確認ください。また、施工する業者の所在地が要件になっている制度では、依頼先を決める前に要件を確かめておくことが大切です。ほかの市町村にも改修や片付けにかかわる支援制度がある場合がありますので、登録の相談のときにあわせて尋ねてみてください。
登録までの片付けは、この順番で進めると迷いません
空き家バンクへの登録を見据えた片付けは、「確認する → 残す物を決める → 出す → 整える」の順に進めると、やり直しが少なくなります。ご家族で相談しながら進められるよう、当コラムなりに順番を整理しました。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1. 確認する | 登録先の市町村と条件(名義・承諾・抵当権などの有無・家財の扱い・事前の調査の有無)を窓口で確かめる。ご家族・ほかの相続人と方針を共有する |
| 2. 残す物を決める | 形見として持ち帰る物、仏壇・神棚など供養を考えたい物、家や土地にかかわる書類を先に取り分ける |
| 3. 出す | 市町村の収集や持ち込みで出せる物、家電4品目、市町村で扱えない物に分けて手配する。量が多ければ業者への依頼も検討する |
| 4. 整える | 掃き掃除・拭き掃除をして、家の傷みや雨漏りの跡などを見られる状態にする。登録に使う写真もこの段階で |
仏壇・神棚と思い出の品は、最初に取り分けます
家財をまとめて運び出す前に、ご家族で残したい物を決めておくと、あとから「あれは出してしまったのか」という後悔を減らせます。とくに仏壇や神棚は、牟岐町のように整理をお願いしている町もありますので、早めにご家族や菩提寺(お付き合いのあるお寺)と相談しておくと安心です。仏壇の手放し方は徳島で仏壇を処分するには|供養の考え方と粗大ごみ・業者の手順でご紹介しています。
あわせて、固定資産税の通知書や登記にかかわる書類、建物の図面・修繕の記録など、家と土地のことが分かる書類は処分せずに取り分けておきましょう。登録の相談や、不動産会社・専門家に相談するときに、家の状況を伝える手がかりになります。
電気・ガス・水道の解約は、窓口に確かめてから
牟岐町は、登録の前に町内の建築士が、安全性や住まいとして機能するか(電気・ガス・水道等が問題なく使えるか等)を調べ、その判定結果によっては登録できない場合もあると案内しています。片付けが終わったからといって先にライフラインを止めてしまうと、調査や内見のときに困ることがあります。解約の時期は、登録先の窓口に相談してから決めると安心です。
また、牟岐町は内見を希望する方に、所有者との日程調整のため1週間前までに連絡するよう求めています。遠方にお住まいの場合は、内見のたびに帰省できるか、鍵をどう扱うかも、登録の前にご家族で話し合っておくとよいでしょう。登録まで時間がかかりそうなら、その間の見回りや手入れの方法を徳島の空き家を遠方から管理する方法|帰省時の点検と頼める先にまとめています。
迷ったときに相談できる窓口
空き家バンクに出すか、不動産会社に任せるか、解体するかで迷っている段階でも、公的な相談窓口が使えます。ひとりで決めきれないときは、片付けを始める前に一度相談しておくと方針が立てやすくなります。
空き家に関する相談を、電話・メール・センターへの訪問などで受け付けています。相談窓口は TEL 088-666-3124。一般相談は午前9時〜午後5時(土・日・祝日を除く)、専門相談(予約制)は毎月第2・第4木曜日の午後1時〜午後3時と案内されています(2026年10月時点)。
● 家のある市町村の担当課
空き家バンクの登録条件や様式、片付け・改修にかかわる支援制度の有無は、市町村の担当課で確かめられます。徳島市は、空き家の維持管理・売却・賃貸・利活用・解体について、市と連携協定を結んでいる専門団体に相談することもできると案内しています。
解体して更地にする方向に傾いている場合は、家財の片付けを解体工事の前に済ませておく必要があります。売却や解体の前の家財処分の進め方は、徳島の空き家、売却・解体前の家財処分の進め方|片付けの段取りをご覧ください。
空き家バンクの登録と片付けについて、よくあるご質問
家財が残ったままでも登録できますか?
市町村によって扱いが違います。牟岐町のように原則として家財道具や電化製品を残さないようお願いし、賃貸では撤去処分を必須条件としている町もあります。登録先の市町村に確かめてから、片付けの範囲を決めてください。
空き家バンクに登録すれば、役場が売ってくれるのですか?
いいえ。県のセンターの説明では、自治体は連絡調整や情報提供を行いますが、あっせんや契約は行いません。交渉と契約は所有者と利用したい人のあいだで行い、自治体が指定する宅建業者や空き家コーディネーターが仲介する場合もある、とされています。
兄弟で相続した家ですが、私ひとりで登録の申し込みをしてもいいですか?
三好市のように、相続や共有名義の物件では関係者・各名義者の承諾を登録の条件にしている市町村があります。申し込みの前に、ほかの相続人の承諾を得ておくことと、登録先の条件を確かめることをおすすめします。名義や相続登記のことは司法書士などの専門家にご相談ください。
片付けだけ先に業者に頼んでも大丈夫ですか?
登録先の条件を確かめ、残す物を決めてからであれば、片付けを先に進めることはできます。ただし、相続放棄を考えている場合は、家財の処分や登録の申し込みの前に専門家へ相談してください。また、片付けの費用を補助する制度がある市町村では、施工する業者に要件があることがありますので、依頼先を決める前に確認しておくと安心です。
登録に向けた片付けのご相談は、便利堂ネコの手へ
便利堂ネコの手は、2009年の創業以来、徳島県全域で空き家や実家のお片付けをお手伝いしてまいりました。家具・家電・衣類・食器・布団類などの家財をまとめて運び出し、作業後は室内の掃き掃除・拭き掃除などの簡易清掃をいたします。仏壇やお写真など供養を考えたい品は、提携寺院での合同供養・お焚き上げもご相談いただけます(別途お見積り)。家電・家具・骨董・貴金属などで価値のある品は、買取査定のうえ作業料金から差し引くこともできます。
遠方にお住まいの方には、写真でのお見積りや、作業前後のお写真の送付、鍵のお預かりといった方法でもご対応しています。写真の送り方は、お問い合わせの際にご相談ください。県内の不動産会社・解体業者と連携し、片付けたあとの活用や処分のご相談につなぐこともできます。どの品をどう処分するかは、訪問お見積りの際にご説明します。登録先から家財の扱いについて案内を受けている場合は、その内容もあわせてお知らせください。
ご相談と訪問お見積りは無料で、お見積り後にご依頼を見送られても費用はいただきません。お見積りでご提示した金額以外の追加料金もいただかない方針です。ご希望に応じて女性スタッフが伺うこともできます。空き家整理のサービス内容は徳島の空き家整理片付け、費用の目安は料金ページ、当日までの流れは作業の流れにまとめています。「登録するかまだ決めていない」という段階でも構いませんので、お問い合わせからお気軽にお声がけください。
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